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2016年1月 4日 (月)

①カムチャツカ・アバチャ山登攀記

カムチャツカには7月末から8月初めに掛けてのわずか4泊5日、短スケジュールでしたが、成田空港からカムチャツカの州都ペトロパブロフスク・カムチャツキーの空港まで3時間半ほどで着くので、比較的楽な行程でした。

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空港からバスで同市郊外にあるパラトゥンカ温泉郷へ。途中窓外に広がる森林を見ていると、予想していた針葉樹はほとんど見当たらず、ダケカンバの疎林とヤナギ類ばかりが目につきます。日本の信州大学に留学経験のある現地ガイドに聞くと、「半島の東側、ベーリング海沿いは海洋性気候のため比較的温暖で落葉広葉樹が多い」とのこと。内陸性気候の半島中央部には針葉樹が多く、一部永久凍土もあるそうです。

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同温泉郷のホテルに1泊した2日目の朝、4輪駆動の6輪車に乗って一気にアバチャ山ベースキャンプへ。この車、ロシア軍が兵員輸送に使っていたものを一部改装したものらしく、とても頑丈そうで悪路に強そう。舗装されている幹線道路ではまだしも、ひとたび未舗装の道に入ると激しく揺れて頭を窓や天井にぶつけそうです。

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雪解け水が流れた跡の広い河原の中を高速でひたすら進み、周囲はヤナギと細い竹ばかりの森が広がるばかりでまったくの無人地帯。3時間ほど走ると一気に視界が開け、眼前に白銀に輝く円錐形の山が目に飛び込んできました。
この山はカリャークという活火山(3456m)で、その右側(南)に富士山に良く似たアバチャ山が青空をバックに優雅に聳えています。

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正午過ぎベースキャンプ(BC。約800m)に着くと、周りは低木ばかり。高緯度地方のため森林限界が700~800mと低いためです。割り振られたコンテナ型の山小屋のひとつで登山準備。

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BC中央にある食堂で昼食を摂ると、明日の登山本番に備えた足慣らしに近くのラクダ山(1150m)へ。途中、見たこともない高山植物の花が辺り一面に咲いているのに驚きました。

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夏の2カ月くらいの間に様々な花が一斉に咲くそうです。約3時間かけて岩だらけのラクダ山を上り下りし、最後は雪渓でアイゼンを装着、雪渓に慣らします。

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夕刻BCに戻ると、蚊の大群に襲われました。物凄い数で露出した腕や顔など、瞬く間に無数の蚊がたかってきます。追い払っても全く効果がなく、山小屋に飛び込んで蚊取り線香を炊きます。また、高緯度のため太陽の出ている時間が長く、10時を過ぎても昼間のように明るいことも驚きでした。




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翌早朝(3日目)、この登攀ツアーに参加した14名は装備を整えてBCを出発。現地ガイドの他に現地アシスタントガイドが4名加わりました。歩き始めて20分もすると低木が無くなり、草が点在する火山岩帯に変化。襲い掛かる蚊に辟易しながらも順調に高度を稼いで登攀を続けます。

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ところが、休憩した標高1500m地点で夫婦2名が軽い高度障害のためか呼吸困難を訴え、登攀を諦めて下山。次いで1800m地点で女性1名が脱落。休憩時、私は隣に聳えるカリャーク山を背景に写真を撮りました。その後は次第に写真を撮る余裕が減ってきました。2000m地点でさらに男性1名が脱落。それぞれに付いてBCまで降ろしていくためにアシスタントが大勢必要だったのです。

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2000mあたりから天候が悪化、厚い雲に覆われ小雨も降り出し気温が急低下。しかも勾配がきつくなり、山肌は崩れやすい砂礫ばかりで2歩踏み出すと1歩ずり下がる状態に。それでも必死に前進し、15時過ぎ荒い息を吐きながら山頂に到達。8名が登頂できました。残念ながら山頂は風雨が強く、視界がきかないので展望を楽しむことはできません。

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火口からの火山性ガスも鼻をつきます。岩に嵌め込まれたレリーフを登頂成功の証として、写真に収めることで諦めるしかありません。岩陰で強風を避けながら行程中唯一のタバコを一服。山頂滞在10分ほどで下山開始。

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砂礫の上を滑るように下ります。まるで走っているような速さで、足元に注意しないと即転倒します。膝への負担が急激に高まる中、冷たい強風に抗って高度を一気に下げていきました。1800m付近まで来ると風邪は弱まりましたが、今度は大きく急な雪渓が続き、さらに慎重かつ急いでトラバース。

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参加者は皆元気で事故もなく、18時丁度、BCに帰着。登りが7時間、下山に要した時間はわずか3時間、合計10時間でした。日本から同行した山岳ガイドの近藤明氏いわく「これまで何度かこのツアーを行ったが、往復10時間は最短時間」。

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その夜、BC食堂に集まり、ビールで皆の健闘と登頂を祝って乾杯。市内で購入したサケ、イクラなどを使ったチラシ寿司を楽しみました。その夜、残照に輝くアバチャ、カリャークの山容や、山の端から上る満月に見ほれながら、「来て良かった」と心から感じた次第です。

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